言葉の密度
2019年02月14日
ＶＲのような錯覚の世界に描かれたＣＧの食べ物に対して「食べた」というフラグが立ちＨＰなどが回復したとしよう。
味は感じるだろうか？香りは感じるだろうか？温度は感じるだろうか？食感は？口の中の刺激は？喉越しは？食道を通過する感覚は？口の中に残る余韻は？そもそも材料は？料理した人は？料理する手間は？食べた場所の状況やや雰囲気は？臭いは？気温は？椅子の座り心地は？椅子とテーブルの高さは？食べた後の腹の感覚は？どういう気持ちになったか？心は上がったか？もしくは下がったか？
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一口食べるという動作だけでも膨大な情報が伴っています。
仮にそれら全てをバーチャル上で表現しようとすれば高額なゲーミングＰＣでも演算が追いつかないどころかフリーズするでしょう。
極度の疲れからか？心が壊れているからか？中身が空洞の認識で言葉を使う人たちというのがいるようです。その密度がバーチャルに毛が生えた程度でも別に驚きはしないです。
目の前にいる人の形をしたナニカは本当に密度の近い言葉でコミュニケーションをしているだろうか？
「親友」という言葉ではどうか？
SNSで友達として登録し合い、時々ダベることを以って「親友」という言葉。
数年数十年、楽しいことも辛いことも嬉しいことも悲しいことも分かち合い、時に絶対の信頼により秘密を共有し、時に何かを共に成し遂げ、時に苦境を共に超えて来た歴史を積み上げた信頼関係を超えた言葉に表すことのできない繋がりを以って「親友」という言葉。
発せられる「親友」という言葉の密度は比べる遥か以前になります。
「自由」という言葉ではどうか？
歴史を深く学び、人類の本質を深く理解した人間が言うところの「自由」という言葉。
単なる無秩序なやりたい放題の幼稚園児のような人の言うところの「自由」という言葉。
比較する意味すらありません。
辞書の意味するところはただのインデックスに過ぎず、高密度の言葉の意味することを表現するには程遠いと言えます。検索結果で取得できる情報でも役不足であることのほうが多いと思います。
密度が空洞でも生きていけないわけではありませんが、生き様が空洞化することは避けられないでしょう。なぜか？
言葉は密度が高ければ高いほど力を伴うようになります。これはイメージの密度にも直結しています。広く深い理解は想像力にとって重要です。想像力は直観力を高めます。直観力はイメージの正確さを高めます。正確さは認識の歪みを是正します。それらは認識の幅と深さを広げ密度を高めます。
イメージが具現化するリアルの密度が違います。
「平等」という言葉にも密度があり、密度が薄いほど正確さを欠きます。
密度の極めて濃い人に密度の極めて薄い人が差し障りのない言葉を使っただけでも取り返しのつかない無礼となることがあります。
密度の極めて薄い人に密度の極めて濃い人が差し障りのない言葉を使っただけでもとてつもない破壊力となることもあります。
密度の差は「密度が薄い意味での平等」では解決不可能です。
自分の目の前にいる人と同じ密度で話すというシチュエーションは貴重なものです。人間関係のトラブルには「同じ密度」だと勘違いしている側面があると思います。そうです。密度が同じとか近い仲間は奇跡的な出会いによって成立しているのです。
相手の密度を見極めるスキルは結構使えるかも。
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